ビビット2006Part1

あのとき、夏休みといえば船橋ヘルスセンターだった．船橋ヘルスセンターには、巨大なゴールデンビーチの他にも凄いものがあった．巨大な大滝すべりである．








この巨大な坂は、もともとはグラススキー場として作られたもので、ハイランドスキー場といっていた．








しかし、シーズンオフ時には使われることはなかったため、夏のプールシーズンの時期だけ今でいうウォータスライダーが作られたのだった．当時はウォータースライダーという一般的な言葉すらなかった時代なので、大滝すべりというネーミングを付けたものと思われる．








大滝すべりには、30m, 80m, 100m の3種類ありそれぞれ色が分かれていた．もともとはグラススキー場の上に、簡易的にすべり台を敷いた程度のものだったため、すべる溝は浅く今の安全基準では考えられないくらいいい加減な作りだった．








すべるのがうまい人であれば、座ったまま沈むことなく反対のプールサイドにたどりついていたが、スピードを出し過ぎたりバランスを崩すと、あっというまにコースアウトして宙を飛んだ．また、休憩時間には監視員が立ったまま滑っていくという芸(といってもアトラクションとしておこなっていたものではないと思われる)をおこなっていた．という、とんでもないものだったため、小学生は禁止となっていた．大滝すべりの下はスケートリンクになっていた．








グラススキー場よりも大滝すべりの方が有名になり、海外の雑誌にも紹介されるほどだった．








そして、この設備がきっかけとなって、のちに巨大屋内人工積雪スキー場ららぽーとスキードームザウス(SSAWS)が誕生することになる．








しかし、バブルの時代ははじけスキーは下火となり、ついに2002(平成14)年9月30日をもって、ららぽーとスキードームザウス(SSAWS)は約185億円の特別損失を経常して閉館となった．








跡地は取り壊され、高層マンションワンダーベイシティサザンとIKEA船橋となった．

船橋ヘルスセンター開園10周年を記念をして作られたゴールデンビーチは、1965(昭和40)年7月にオープンした．ゴールデンビーチは、高さ3m幅4mもある扇型の立派な護岸堤で囲まれた3万7512m2もある巨大な海中プールだった．








1978年8月のゴールデンビーチでは、ロックフェステバルがおこなわれ、"あつい夏をもっとあつくしよう！！" を合言葉に、内田裕也・桑名正博・ダウンタウンブギウギバンド・かまやつひろしなどが参加した．
























ゴールデンビーチの最盛期には、入場者数が1日なんと10万人を超える日もあった．ビーチの入場料はのちに800円となっていたので、10万人の来場者数だと1日の売り上げは8000万円にもなっていたことになる．しかし、地盤沈下のため温泉のくみ上げが禁止されたこともあり、巨大なスーパー銭湯化した船橋ヘルスセンターは、ついに1977(昭和52)年5月に閉園した．しばらくの間ゴールデンビーチだけは営業を続けていたが、国鉄京葉線南船橋駅の開業の計画が進んでいたこともあり、ゴールデンビーチは埋め立てられ、土地交換という方法でららぽーとの一部になる．








船橋ヘルスセンターも、温泉のテーマパークを捨て遊園地やとしまえん(流れるプールは世界初)のようなプールのテーマパークとして生き延びる道もあったと思われるが、となりの谷津遊園の方が、日本国内初のコークスクリューを含む2機のジェットコースターなどを備えて設備が充実していたのと(しかし1982年12月に閉園し東京ディズニーランドへ吸収)、すでに巨大遊園地東京ディズニーランド(1983年4月15日開園)の建設計画が進んでいたことなどから、船橋ヘルスセンターは、ハワイのアラモアナセンターなどをモデルにショッピングモールの道へ進んでいく．そして、1981年4月ららぽーと1がオープンした．このときに、あのイケアもららぽーとに初上陸したのだった．

船橋の海岸は遠浅でたいへんよい海水浴場だった．東京方面からもほどよい距離にあったため、夏には多くの人が訪れた．しかし、埋め立ての波は船橋の海にも押し寄せ、1952(昭和27)年ごろから船橋の海を埋め立てを始める．
右写真は、海の家を使っておこなわれた船橋ヘルスセンターの埋め立て式．大神宮から海側へ向かった、現在の赤い橋があるあたりと思われる．








東京都江東区の深さ600mの井戸から天然ガスが噴出すなど、東京湾一帯で天然ガスが出ていたが、船橋でも埋立地の一部を使って試掘を行ったところ、深さ1700mから天然ガスと36度の温泉が出てきた．








そして、その温泉を利用した船橋ヘルスセンターが1955(昭和30)年2月に開園した．遠方からも、社員旅行や地域の旅行として観光バスで来園し、最盛期には年間400万人を記録した．なお、1959(昭和34)年ころの海の家の入場料は大人50円・小人40円．








船橋ヘルスセンター開園10周年を記念して1965(昭和40)年7月にできたのがゴールデンビーチだった．当時はすでに工業地帯化していた船橋の海は、すでに泳げるような状態ではなかった．そこで、ゴールデンビーチは密閉型とし、海水を利用していたものの巨大なろ過装置を使って5万tの海中プールを作った．当初のゴールデンビーチと船橋ヘルスセンター本館共通の入場料は、大人250円・小人150円だった．

懐かしい "船橋ヘルスセンター" の CM を見つけた．

現在のららぽーと北通り商店街の東側のビルは4階建てだが、1970年代当時は2階建てだった．その、ららぽーと北通り商店街の屋上にはローラースケート場があったのだ．1970年前半に、爆発的な人気を呼んでいたものにローラーゲームがあった．東京ボンバーズ対アメリカチームの試合を中心にテレビ放映されて一大ブームとなっていた．当時、ららぽーとの場所は船橋ヘルスセンターだったわけだが、その試合のテレビ中継(東京12チャンネル木曜20:00)が船橋ヘルスセンターで行われていた．ローラースケートが日本中でブームになっていて、そして船橋ヘルスセンター北通り商店街の屋上の空きスペースを利用してローラースケート場にしたものだ．おそらく、現在の安全基準では許可されないかもしれない．








ローラーゲームはアメリカで生まれたが、今人気のショートトラックスピードスケートがベースになっているのではないかと言われている．ローラーゲームは、1955年に初めて日本の後楽園で紹介された．それがきっかけとなって、1969年に佐々木ヨーコとミッキー角田がロサンゼルスのサンダーバードの試験に合格して、サンダーバードの一員として活躍した．そして、彼らが中心となって1972年にハワイで東京ボンバーズが結成されたのだ．1973年には日本で初めて試合が行われ、東京ボンバーズvsアメリカチームの試合はテレビで放送されて一大ブームとなった．


















1974(昭和49)年の船橋ヘルスセンター北通り商店街と、船橋ヘルスセンターのローラースケートリンク．








＜ローラーゲーム＞
ローラースケート(ローラーブレード)をはいた2つのチームが、同一方向にリンクを回りながら追い抜き合いを演じるというインドアスポーツで、何人抜いたかでポイントを競う．トラック競技とアメフトと格闘技を合わせたようなスポーツゲームだ．東京ボンバースのロングヘアーの佐々木ヨーコ(初代東京ボンバーズのキャプテン)は、他の男性プレイヤーたちをひじてつで倒しまくり、アイドル的扱いの花形スター選手であった．しかし、テレビを媒体とした視聴率競争の中で、シナイを持ち出すなど過激な反則をしまくり、小学校などでは批判的な声も上がりしだいにブームは落ちていった．米国などでも、スポーンサーと視聴層が合わないなどからテレビ放送されなくなっていた．ついに、1976年には東京ボンバーズは分裂して解散した．その後、当時の選手たちはジャニーズ事務所にて、光GENJIや SMAP・ジャニーズJr. などのローラースケートプロデュースをおこなっている．映画の近未来のスポーツゲームとしては、ローラーボールと呼んでいる．
1979(昭和54)年11月の船橋ヘルスセンター北通り商店街と、船橋ヘルスセンターのローラースケートリンク．現在の東京パン屋ストリートのあたりにローラースケート場があった．








＜ショートトラックスピードスケート＞
30mｘ60mのリンクの1周111.12mのだ円形のトラックを使用して、同時にスタートして着順を競い合う．各組の1位と2位が、予選・準々決勝・準決勝・決勝と勝ち抜いて行く．ひとつの距離で3〜4回の滑走して、その勝者が決まる．ショートトラックには、4距離合計得点で競う選手権大会、距離別に勝者を決定するワールドカップ競技会、チームの得点を競うチーム選手権大会がある．選手権大会では最後に実施する3000mには、決勝得点をもつ上位8名だけが出場できる．
1984(昭和59)年10月のららぽーとのダイエー．

船橋ヘルスセンターにはアイススケート場があった．船橋ヘルスセンターには、大滝すべりという今でいうウォータースラダーがあり、一番長いものは100mを超える大規模なものだった．その下が、アイススケートリンクになっていた．また、その隣りには、ローラースケート場があり、東京ボンバーズと米国対抗ローラーゲームをおこなっていて、東京12チャンネル(現テレビ東京)でテレビ放送されていた．

1986(昭和61)年のららぽーとには、アイススケート場があった．現在のららぽーと1の飲食店街がある場所とハーバー通りの場所だ．
















ららぽーとの前身である船橋ヘルスセンターにも、アイススケート場があったので、その設備を流用したものだったのかもしれない．